自己分析を定義する
こんにちは、脳筋です。脳筋の欲求は当然ながら筋肉による美の追求です。ギリシア彫刻のラオコーン像のような筋肉を追い求めて、いずれは有名な彫刻家に作品にさせてくれと頭を下げられるまで筋肉を追求します。冗談はさておき、今日は就活において学生が苦労する自己分析についての記事を書こうと思います。この記事ではまず自己分析を定義します。その次にハンズオン形式で自己分析を行う流れになっています。なので最初から最後まで頭を働かせながらじっくり読んでいただきたいです。
自己分析の方針
自己分析のアウトラインを先に言うと、「ゴールは人生をかけて成し遂げたいことを決めることであり、スタートは根源的欲求を見つけること」です。自己分析の終わりは自分が定義したスタートとゴールに対して腹落ち(納得)した状態になることです。
自己分析を定義した背景
就活初期、自己分析はやった方がいいというのは耳が痛くなるほど聞きますが、自己分析って何をすればいいんだろうと迷う学生は多いですよね。とりあえず友達に自分の良いところと悪いところを聞いたり、自分が働く環境に求めることを考えたりする学生が多いと思います。このやり方の問題点は2点あります。長期的な効果が見込めないということと、具体的なアクションに繋がらないことです。多くの学生が面接のため、就活のためだけに自己分析をやっているのではないでしょうか。自己分析は自分のキャリアを決める上でも、人生の充足感においても重要なものなので、せっかくですから就活においてだけでなく、人生において有意義な時間にしましょう。そのため、自己分析の目的を「人生をかけて成し遂げたいことを見つける」と設定してやりましょう。しかし、いきなり人生をかけて成し遂げたいことを決めようと思っても、考える材料が足りなかったり、思考が発散しすぎてしまったりすると思います。そのため、まずは確定要素である自分の過去を振り返り、自分の価値観や考え方を固めます。
それによって過去の自分と現在の自分の二点を結ぶ線分ができると思います。そこから未来に向かう延長線上に人生をかけて成し遂げたいことが見つかってくると考えています。ということで、まずは根源的な欲求から深掘りしていきましょう。
根源的欲求を知ること
自分の根源欲求を知ることは自分にとっての快苦の本質を知ることであり、それに基づいて価値観や行動原理(一般的に自己分析で見つけようとするもの)を説明できると考えています。道徳科学では、あらゆる動機は本質を突き詰めていくと、すべて「快苦」にたどり着くと言われています。言い換えると、人はより多くの快楽を得るように、また、より苦痛を避けるように行動しています。人間はこの快楽と苦痛の計算を常に行っています。例えば就活で大企業に行くことによる快楽(自尊心・達成感・安定)を得るために、日ごろから勉強することによって生じる苦痛(疲労・忍耐)はわりにあっているかどうかという感じです。快楽や苦痛と言っても、種類・大きさ(優劣)に個人差がありますが、自分にとっての快苦の優劣は根源的欲求によって決まります。簡潔に言うと、あなたの快苦を適切に説明するのに必要なものがあなたの根源的欲求です。根源的欲求は基本的に以下の9つのどれかに当てはまると言われています。
欲求は満たされていれば快楽な状態であり、満たされていなければ苦痛な状態です。この9つに自分にとっての重要度で優先順位を付けてみると自分の価値観が見えてきます。ここで注意してほしいのは安易に最優先の欲求を根源的欲求にしてはいけないということです。その理由は、根源的欲求はそんなに簡単に見つからないからです。ここまでで決めた最優先の欲求は実はそれよりもさらに深い位置にある根源的欲求を満たすための行動方針の可能性が高いです。そのため根源的欲求を見つけるには最優先の欲求に関して、それを満たしたい目的を考える必要があります。目安としては深掘りした欲求を満たしたい目的が答えられなくなった時や、その欲求を満たしたい理由が何人かと話してみて変わらない場合は根源的欲求の可能性が高いです。私の経験上で行きつく先は「安定していたい」や「楽しみたい」でした。(当然ほかにも考えられると思いますし、それよりも深い位置にあるものが見つかる可能性もあります。)これによって、どんな快楽を優先して満たすべきかが見えてきます。また、この後に詳細を説明しますが、根源的欲求を見つけることは、人生をかけて成し遂げたいことを見つける手掛かりになると思います。
根源的欲求を知ることの効果
根源的欲求を知ることによる効果は、短期的には面接対策になり、長期的には、自分が幸福になるためにより適切な行動選択ができることです。ここでは面接対策になることのみについて説明します。面接において90%以上の企業が重視しているのは就活生の人柄です。人柄を分かりやすく言うとその人がどんな考え方や価値観に基づいてどんな行動をとるのかです。そのため、自分の根源的欲求を把握していれば、すらっと話せることができるようになります。根源的欲求に加えて、根源的欲求を満たすためにどんな方針で行動してきたのかを伝えることも意識しましょう。これを把握しておくと、面接でよく聞かれるなぜそう思ったんですかとか、例えばどんなことをしたんですかなどの深掘りに対応できると思います。例を挙げると「安定していたい」という根源的欲求を持っていて、その欲求を満たすために「社会に依存しないでキャリアを歩める能力を磨くこと」という粒度で把握できていると効果が期待できます。
あなたが「人生をかけて成し遂げたいこと」は何か
人生をかけて成し遂げたいことを見つけることは、人生における充足感を最大にすることに繋がります。心理学や生理学において、幸せになるためには目標に対して前進することが非常に有効な手段であると言われています。また、幸福度と目標の達成度に相関があることを示すデータ(brunstein schultheiss & grassmann 1998)もあります。また、仕事に対しての意味づけと人生をかけて成し遂げたいことを結びつけることができれば、楽しく働くことも可能になると考えています。
人生をかけて成し遂げたいことを見つける作業では、継続的に仮説を検証し、修正していくことになりますが、ここでは一番最初の仮説を立てる方法を紹介します。しかし、この記事では時間対効果を考えてその縮小版である「働くことで何を成し遂げたいのか」を決めることをゴールとします。まず前提として、働くこととは価値提供であるという認識を持つことです。(お金のためというのはなしです。)そのため、自分ではなく社会に対して目を向ける必要があります。そして社会にとって価値のあることと自分の根源的欲求、現在の自分の直感や強み、希望などから仮説を立てていきます。
まずは、自分の根源的欲求が満たされなくなる要因や状況を想像してみてください。例えば根源的欲求が「楽しみたい」だとすると、自分に自信がなくて自分を出せていない時とか、人間関係とか、やりたくないことをやらなければならない時とか、エンターテインメントが不足しているとかいろいろあがると思います。このフェーズで自分の価値観や経験を取り入れてしっかり言語化ができていないとそれ以降で詰まってしまうことが多いです。(この例だと単純すぎると思うのでこの後に私の例を挙げておきます。)この中で自分一人じゃ解決できないけど解決したいことや、同じような状況になっている人を救いたいみたいな感覚を持てるものを取り上げてください。そして、その状況をポジティブなものに言い換えてください。例えば、それが自分を出せていないとか人間関係というようなものである場合は「だれでも自分を出せる世の中にしたい」となったり、やりたくないことをやらなければならない時である場合は、「やりたくないことはやらなくて良い世界にしたい」とか、エンターテインメントが不足しているという場合は「エンターテインメントをあふれさせる」とかです。もうそれっぽいビジョンになってきたと思いますが、さらにブラッシュアップしていきましょう。次に行うことはそれっぽいビジョンに対して、どんなことが課題として挙げられるのかを考えることです。課題とは、理想状態を実現するためにとるべき行動の方針です。例えば、「やりたくないことをやらなくて良い世界にしたい」に対する課題は、「この世から雑務を無くすこと」とか「やりたい人とやりたくない人をつなげる」とかいろいろあると思います。直感で自分が好きなものを選んでください。最後に課題を実現するための方法を考えてください。「この世から雑務を無くす」だと、「AIを使ってこの世から雑務を無くしたい」とかになるわけです。ここまでくると、自分の根源的欲求に結びついたビジョンが見えてくると思います。そのため、自分のビジョンに対する強力な説明要素が一つできるわけです。また、具体的に自分が雑務でイライラしたようなエピソードや、社会では雑務が原因で働きがいがなくなってしまっているみたいなデータもあるとより自分の納得感が増すと思います。また、手段が決まれば業界・分野も絞られてくると思います。
ちなみに私の働くことで成し遂げたいことは「情報格差や機会格差などのアンコントローラブルな要因によって不幸になっていく世の中をITサービスによって変えたい」です。これを決めた流れを説明していきます。私の根源的欲求が「安定していたい」で、それが満たされていない状態や要因は「安定を構成する要因の中にコントロール不能な要因があること」だと考えました。例えば安定を構成する要因の中には経済力があり、経済力を構成する要素にはスキルや職業、住む場所、家族構成などがあります。さらにスキルに関しては、周りの環境にも左右されると考えており、周りの環境の中には人との出会いや身近な成長機会の充実さなど、コントロール不能な要因があるという具合です。これをポジティブにしてみると「どんな環境要因もコントロール可能な要因にすること」となります。これに対する課題は、「情報格差や機会格差などのアンコントローラブルな要因を無くすこと」です。課題はいろいろ考えられると思いますが、このように限定した理由としては、私は将来、東京ではなく地方で生活したいと考えているため、安定を構成する要因の中で特に環境要因をコントローラブルなものにしたいという考えを持つようになり、この課題を選びました。手段に関しては「ITサービス」としていますがこれに関しては、ITを扱える人材が安定していそうということと、自分が大学で情報学を専攻しているため強みを生かせるということと、ITが持つ課題解決力に惹かれたという理由で選びました。
「人生をかけて成し遂げたいこと」を見つけることの効果
人生をかけて成し遂げたいことを見つけることの効果は、短期的には面接対策になり、長期的には人生の充足感を高めることができます。人生をかけて成し遂げたいことが決まるとキャリアプラン(仮)が具体化されていくと思います。そうなると業界を絞れたり、自分の意思決定に自信を持つことができたり、自然と熱量が出てきたりします。これらは面接に影響します。リクルートの就職活動意識調査「就職白書」によると、企業が採用活動で重要視している項目の2位、3位に「企業への熱意」(78%)と「どんな風に活躍してくれそうか・ポテンシャル」(72%)があります。企業への熱意に関しては自分のキャリアプランを実現できる可能性が高い企業であれば自然体で熱意が出せるはずです。また、どんな風に活躍してくれそうかやポテンシャルに関しては、学生がどのくらい高い目標を持っているのかや、3年以内くらいの具体的なキャリアプランを提案することで示せます。そのため、人生をかけて成し遂げたいことを決めることは就活においても必須事項ということになります。
なぜ腹落ちさせる必要があるのか
目標が目標として機能するのは、目標の実現可能性や目標の魅力さや目標を達成しなければならないという危機感を自己が認識している状態(=腹落ちしている状態)です。つまり腹落ちしていないとせっかく決めた「働くことで成し遂げたいこと」を機能させることができなくなってしまいます。
腹落ちするには
ここまでやっても、まだ目標に向かって動き出せない人や、モチベーションが持続しない人が多いと思います。冒頭で自己分析の終わりは、自分で定義した根源的欲求と人生をかけて成し遂げたいことに対して腹落ちすることと述べました。動き出せていない人や不安がある人は納得感がないのではないでしょうか?その原因としては、三つのことが考えられます。
①思考不足(自分の中に答えがあるものが不足している)
自分の過去のエピソードが足りておらず、根源的欲求や人生をかけて成し遂げたいことを裏付けれていない。
②情報不足(自分の外に答えがあるものが不足している)
あらゆる可能性を吟味しきれていないことによる不安や、他者との比較ができていないことや、客観的な視点が不足。また、社会に対する圧倒的な情報不足。
③実力不足(設定した目標の実現可能性低いと感じる)
高すぎる目標を設定したことにより、現在の自分からは目標達成のイメージが一切つかない。また、経験による裏付けができていない。
思考不足に関する解決策は、根源元的欲求や人生をかけて成し遂げたいことを裏付けるエピソードを発掘することや、それに対して「なぜ?」を繰り返してみることだと思います。情報不足に関する解決策は、自己分析を他人とやることが必須だと思います。そうすることで自己を相対的に評価できるようになり、納得しやすくなります。社会に関する情報収集はリクルーターやエージェントの方に相談したり、ベンチャー企業の企業理念や社長が起業した理由がかかれているブログなどを見てみるのも面白いと思います。どんな課題に対して取り組んでいるのかが詳しく見れます。また、気になっている業界の企業のオウンドメディアを見ることもお勧めします。実力不足に関する解決策は、情報収集したうえで目標達成までの道のりを明確にして、目標の具体性を増したり、その一歩手前の状態を目標にしたりしてみるか、理想と今の自分とのギャップを明確にすることも良いと思います。
最後に
自己分析は、「あなたが人生の充足感を最大にする方法」を認識することなので、就活が近づいてきたからというよりかは、この記事を見た瞬間から実行してみてほしいです。また、周りより出遅れてしまって就活うまくいっていない人や、その他でつらい思いをしている学生も多いと思いますが、人生をかけて成し遂げたいことを決めると、絶対的なモチベーション維持の指標になり、成長速度も向上すると思います。出遅れてしまっている人は、現在自分が列の最後尾にいるものだとイメージすれば、あとは抜かしていくだけです。この記事を見た学生が頑張り抜けるようになることを祈っています。
また、本記事を書いた3年後くらいに更なるアップデート記事を書いたのでこちらも併せて読んでみると自己分析が進めやすくなると思います!
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