笑いの再現性について考えてみる
前回の記事の冒頭で決まった通り、あたまがきんに君です。最近のアップデートをお伝えすると、私は今年に入って二度目の食中毒になり、ナマモノ恐怖症になってしまいました。せっかく実家に帰ってお刺身を食べようとした時に、うちのばぁさんが嬉しそうにアニサキスの話をするので、ひと足さきにお箸を置いてご馳走様をしました。ただ、アニサキスって特殊な光を当てるとわかるらしく、その検知器は楽天市場とかAmazonでも売ってるらしいです。心配な方は買ってみるのもいいかもしれないです。とりあえず今回は読者の皆さんに有用なことは書けたのであとは私が好きなことをテキトーに書いてきます。今日のトピックは「笑いの再現性について考えてみる」です。
最初に
私は大喜利とか漫才とかコントとかが好きで、日常の面白いことに関心が向く方ですが、たまに「自分はなぜこれに笑っているんだろう、笑うとか面白いってどういうことなんだろう。」と考えることがあります。
今日は、自分が「面白くて笑ってしまうこと」がなぜ「面白いと感じて笑うという反応を引き起こすのか」についてなるべく再現性を意識しながら考えてみようと思いました。自分だけだと少し主観が入りすぎていたり、漏れがあったり、深めきれないかなと思ったのでChatGPTにお手伝いしてもらいました。
目指すはマンチェスターシティの攻撃くらいの再現性の高さ
今回の記事で目指すお笑いの再現性のクオリティのイメージとしてはマンチェスターシティの攻撃くらいです。マンチェスターシティは22-23シーズンで平均得点数2.47という驚異の数字を記録しています。サッカーは大体2点も取れば試合には勝てるんですよ。つまりどんな相手に対しても試合に勝ち切れるくらいの点数を安定的に決めているという状態です。半端ないですね。
今回目指すのはこの驚異的な再現性なので、一旦マンチェスターシティの攻撃の再現性のポイントを調べてみました。
なるほど、狙う場所と方法が明確であることが再現性の高さになっているということですね。なので、お笑いについても狙う場所と方法を明確にしていくことをこの記事のゴールにします。
ChatGPTとの議論スタート
まずは、笑いとはなんなのかを聞いてみます。
笑いとはなんでしょうか?簡潔に教えてください。
ChatGPTの回答はこちらです。
笑いとは、喜び、楽しさ、またはユーモアを感じることによって口元を緩めて声を出す反応のことです。
なるほど、笑いとは反応なので、要するに結果の話ですね。笑いという結果を得るための手段として、喜びや楽しさ、ユーモアを感じさせる必要があるということでしょうか。
ここではより「面白くて笑う」ということについて深掘りしていきたいので、ChatGPTがいうユーモアについて深掘りしていこうと思います。
ユーモアとはどのような条件が揃っていることを言うのでしょうか?簡潔に教えてください。
それに対する回答がこちらです。
ユーモアとは、以下の条件が揃っていることを指します:
1. 面白さ: 人々に笑いや楽しさを与えることができる要素が含まれています。
2. タイミング: 適切なタイミングで提示されることで、効果的に笑いを引き出します。
3. 理解しやすさ: 理解しやすく、受け手にわかりやすい内容であることが重要です。
4. 創造性: 新しいアイデアや視点を盛り込み、斬新な表現をすることがあります。
5. 共感: 受け手の共感や感情に訴えることができる要素が含まれることがあります。
これらの条件が揃っているユーモアは、人々に楽しさや喜びをもたらし、コミュニケーションを円滑に進める助けになることがあります。
漏れなくあげてくれる感じが最高ですね。さすがChatGPTです。抽象度は高いですが、一旦ユーモアを満たす上で必要そうな要素を一通りあげることができました。
ただ個人的な感覚としては、「面白さ」はもう少し深掘りする余地があるなと思っているのと、「理解しやすさ」と「共感」の違いが微妙にわからない気がするので聞いてみます。
「理解しやすさ」と「共感」の違いはなんでしょうか?
それに対する回答はこちらです。
「理解しやすさ」と「共感」は、ユーモアに対して異なる側面を表しています。
理解しやすさ:
ユーモアの中には、分かりやすくシンプルな形式やストーリーがあります。
理解しやすいユーモアは、聴衆がすぐにジョークや笑いのポイントを理解できるものです。
難しい言葉や複雑な文脈を用いず、広く受け入れられる内容になっています。
共感:
ユーモアの中には、聴衆が感情的に共感したり、共通の経験を思い出すことができるものもあります。
共感の要素を持つユーモアは、人々が自分自身を反映させたり、他の人の感情や立場を理解したりすることで、
より深い笑いや喜びを引き起こすことがあります。
要するに「理解しやすさ」はユーモアの内容が分かりやすくてシンプルであることを指し、「共感」はユーモアの内容が聴衆の感情や経験に共感を呼び起こすことを指します。
ユーモアにおける理解しやすさとは、ジョークや笑いのポイントを理解できるものとあるので、頭を使わずとも理解できることを言うとか、何かを言った時に相手に「ん?」と思わせないことが重要ということでしょうか。そのためにはロジカルであることや、テンプレート染みたことをやるとか、共通認識を捉えるということをやるのが良さそうですね。例えば「てんどん」とか、例えツッコミをするときにみんな知ってる人や事柄を使うのが良い例ですね。
次に、ユーモアにおける「共感」とは、自分自身を反映させたり他人の感情を理解するとあります。感情の動きなので説明するよりもみる方が早いかもしれません。かまいたちの「絶対に言わんといてな」というネタが参考になるかもしれません。
これは「濱家の母が万引きで捕まった話を親友である山内にだけ伝えてあったが、その話をクラスの全員が知っていたという事実から、山内が疑われる」というところからスタートするネタです。これは「どう考えても山内が怪しいやん!」という濱家側の状態にも共感できるし、山内側の「疑われている、やばいやばい、どうにか言い訳しないと!」といった状態にも共感できます。(シンプルに演技もめちゃ上手いですが)どっちの立場にも共感できるのでとても惹かれます。
なんとなく「理解しやすい」と「共感」の理解がつかめてきたので、続いて面白さについて深掘りしてみます。
「面白さ」の人々に笑いや楽しさを与えることができる要素とは具体的にどういうものでしょうか?
これに対する回答はこちらです。
「面白さ」の要素は人々に笑いや楽しさをもたらす以下のような要素を含んでいます。
1. ジョークやパンチライン: 予想外の結末や意外性が含まれたジョークやパンチラインは、人々に笑いを誘います。
2. コメディのキャラクター: コメディの中で個性的で奇抜なキャラクターが登場すると、観客はそのユニークな特徴や行動に笑いを見出すことがあります。
3. ハプニングや失敗の瞬間: 予期せぬハプニングや失敗の瞬間は、人々に笑いを与えることがあります。
4. アニメーションやカートゥーン: カートゥーンやアニメーションは、リアルではない奇抜な展開やキャラクターの表現があり、人々に笑いをもたらすことがあります。
これらの例は、ユーモアの多様性と、面白さを引き出す方法の一部を示しています。人々に笑いや楽しさを与えるためには、独創性や遊び心、意外性が重要であると言えます。
キーワードとしては、「独創性」、「意外性」、「遊び心」、「奇抜さ」あたりかと思います。ただ、これらについては最初に挙げた5つの要素のうちの「創造性」にも当てはまるようなので、二つの違いについて聞いてみます。
面白さと創造性の違いを教えてください。
これに対する回答はこちらです。
面白さと創造性はユーモアに対して異なる要素を表しています。
面白さ:
面白さは笑いや楽しさを引き起こす能力を指します。
人々に笑いや喜びをもたらす要素が含まれることが重要です。
面白さは、ジョークや面白いアイデアが聴衆に笑いを提供できるかどうかを評価する指標です。
創造性:
創造性は新しいアイデアや視点を持ち込む能力を指します。
斬新な発想や新しいアプローチを取り入れることで、独自性や個性を示すことができます。
創造性は、ユーモアの内容に新しさや驚きをもたらす要素となります。
簡潔に言うと、面白さは笑いや楽しさを引き起こす能力を指し、創造性は新しさや独自性を示す能力を指します。
これらの要素が相互に補完し合うことで、より効果的で魅力的なユーモアを創造することができます。
創造性については、意外さや奇抜さ、斬新さみたいな要素があることがわかりましたが、面白さが一向に深掘りできない、、なので具体例を挙げてもらってChatGPTが言いたいことを汲み取ってみます。
笑いや楽しさを引き起こす要素があるジョークと要素を持たないジョークの具体例を挙げてください。
ChatGPTの回答はこちら。
笑いや楽しさを引き起こす要素があるジョークと要素を持たないジョークの具体例を挙げます:
笑いや楽しさを引き起こす要素があるジョークの例:
ジョーク: 「なぜ猫は絵を描けないの? 答え: テールが描けないから!」
要素: ダジャレと意外性。予想外の理由により笑いを誘います。
ジョーク: 「私、昨日メモリを買ったんだけど、忘れてしまった。」
要素: 言葉遊び。メモリ(記憶)を買ったが忘れてしまったというジョークで、遊び心を表しています。
要素を持たないジョークの例:
ジョーク: 「好きな色は何? 答え: 青、赤、黄色かな。」
要素を持たないジョークの理由: 特に意外性やユーモラスな要素がなく、普通の質問と答えに過ぎません。
ジョーク: 「好きな食べ物は何? 答え: いろいろあるよ。」
要素を持たないジョークの理由: ジョークとして特徴的な要素やユーモラスな要素が欠けており、単なるリストの列挙になっています。
面白さを引き起こす要素があるジョークは、意外性やユーモラスな要素が含まれているため、聴衆に笑いや楽しさをもたらす一方、要素を持たないジョークは特に笑いを引き起こす要素がないため、単なる情報の提示になっています。
面白くはないんですが、ChatGPTが言いたいことがなんとなくわかってきたような気がします。すごくざっくり抽象化すると「エントロピー(情報量)」という要素と「make senseさせて気持ちよくさせる(言葉遊び)」みたいな要素の2つのことを言いたそうです。このうちエントロピー(情報量)の方は創造性と意味的に重複しているので創造性に吸収されるものとします。つまり、ChatGPTがいう「面白さ」とか「笑いを引き起こす要素がある」というのは、言葉遊びのように「make senseさせて気持ちよくさせる(知的刺激)」とかてんどんという仕組みのように「もう一回同じ展開が来るだろう、ほらきた!(予想が当たった時の気持ちよさ)」のようなある種の快感を呼び起こすテクニックが使われていることだと思います。(ちょっと共感の要素にも近い気もしますね)
次に、「創造性」について考えてみます。創造性とはエントロピー(情報量)だと言い換えましたが、確かに、人は情報量が多いものに対して、新鮮さを感じたり、新しい発見があるかもしれないとか、退屈から逃れられるかもしれないとワクワクするので、情報量が多いものに対して本能的に興味を持つ(面白いと感じる)ということでしょうか。確かにチャップリンやヒゲダンスのようなものは、動き的に見慣れないものだったので情報量としては大きくなり、人々は興味を持ちます。他には「富士山に海パンとビーチサンダルで登りに行ったんだよね」みたいなエピソードは、山という文脈に海の格好という交わりそうにない要素が混ざることによって、情報量が大きくなると思います。
そして最後の要素の「タイミング」について考えます。タイミングについては、イメージ的にはその他の4要素の副次的な要素なのかなと思っていて、たとえばストーリーのどのタイミングでどういった会話を盛り込むのかで、同じ会話を盛り込むとしても、情報量や共感量やロジカルさが変わると思っています。IPPONグランプリとかで、松本人志さんがたまに、「もうちょっと後だったらIPPON取れてたかもな〜」みたいなコメントをしていたのは、まさにタイミングの話だったんでしょうね。他の人と似た回答をしたらエントロピーが小さくなってしまうけど、逆にエントロピーが外れすぎたものがあってもそれに近い回答をした人が先にいたら聴衆は受け入れやすくなるかもしれません。
長くなりましたが、今までの議論をまとめて、笑いの再現性についての結論を出します。今回は再現性を重要視しているので狙う場所と方法を明確にして終わろうと思います。
笑いを生むために狙う場所
「面白さ」、「タイミング」、「理解しやすさ」、「創造性」、「共感」の5つの要素の総積をできる限り高めることかなと思います。
笑いを生むための方法
5つの要素の総積を高めるには、5つの要素を体系的に学ぶ必要があると思います。ちゃんと再現性を目指す上では、この方法を明らかにする必要がありますが、それは次の機会にやれればと思います。一旦、笑いを生むための方法については、下記の狙い所に対してPDCAを繰り返していくという結論にします。
面白さ
てんどんや言葉遊びのようなある種の快感をよびおこすテクニックが用いられていること。言葉遊びを学ぶならラッパーを知るのが良さそう。語呂が気持ちいいとか韻を踏むとかがあるので勉強になる。純粋に面白い要素には気持ちの良いリズムとかもあると思うので、リズムネタもありかなと思います。
タイミング
文脈を読んで他の要素の評価値を最大化させること。これは1番PDCAが必要そうなところでしょうか。
理解しやすさ
共通認識から外しすぎないとか、認知負荷を上げないこと、ロジカルシンキング。理解しやすさと創造性がトレードオフになりがちなのが難しいところで、ここの共存というところがPDCAポイントになりそうな気がします。
創造性
回答のエントロピー(情報量)を高めるとか、定石を外すとか、ロジカルシンキングではなくデザインシンキングのような思考。個人的にはエントロピーがお笑いにおいては1番重要な要素だと思っています。踏み倒されたものをいかに避けるかが鍵なので、野球の素振りみたいに思考回路を鍛えるしかないですね。
共感
極端な(誇張した)シーンで感情を動かしやすくする。仕事をしていると理性的に考える脳が発達して感情が埋もれてしまうことがありますが、そうなると共感がわからなくなってきてしまうと思うので、感情を動かす機会を作り続ける必要があると思います。
最後に
もともと自分がお笑いにおいて大事だと思っていたことは、「文脈」と「エントロピー」と「デザインシンキングとロジカルシンキングの交わるところ」だとフワッと思っていたのがChatGPTのおかげでより深めることができて、漏れなく検討できたかなと思います。また目指すべき場所を5つの要素の総和ではなく総積と定義したのは、これらの要素が相互補完的に機能すると思ったからです。まるでDevOpsの4 key metricsみたいですね。はい、私のたとえツッコミは「理解しやすさ」や「共感」が低いので笑えないです。なので今後も面白さの再現性をもっと研究していくのと、大喜利的な総積を瞬時にマックスに持っていく脳の回路を磨いていこうと思います。
余談その1
ChatGPTは平均的な回答をするように設計されているので、情報量は極少で「面白さ」をほとんど持たない人格ということになりますね。面白さについて一緒に考える相手としては役不足だったかな?
余談その2
お笑いのオチについての理解が深まったなと思いました。笑えるオチを作るには、「ネタ(ストーリー)の結末として、情報量が多く、理解や共感がしやすい形にどうやって繋げるか」を考え続けることが必要なんだろうなと思いました。面白いオチには大きな情報量と共感と理解があるということですね。
余談その3
やっぱり大喜利芸人はすごいなと思いました。瞬時に情報量が多く、理解や共感がしやすく、他者の回答とかの兼ね合いやタイミングを意識したものを出すという判断をしているわけです。どうやってそんなことができるんや。。松本人志さんは大喜利ができる芸人を認める傾向にあると思っていますがその理由もなんとなくわかります。再現性を突き詰めれば誰でも時間をかければ面白いものは作れるようにはなりますが、より多くの人に向けて面白いものを瞬時に導く脳の回路が発達していることこそ、素人との差別化ポイントなのかなと思いました。
余談その4
大喜利とかだと流石に判断が瞬時すぎるので、ハマらない回答も出てきます。そういったものがなぜIPPONに至らなかったのかを考えるのは、お笑いについて考える上でとっかかりやすいかもしれないですね。自分は大喜利の成功例、失敗例をいくつも研究してました。その結果自分の中でお笑いの再現性について考える土台ができたと思います。とても勉強になりました。
余談その5
内輪ネタが面白くなりやすいのは、話し手と聞き手がかなり文脈を共有しているので、「共感」要素がマックスなこと、「快感を呼び起こすテクニック」が内輪の中で独自に構成されていること、共通認識も共有されていること、発動タイミングに関しても基準が緩いことが挙げられるかなと思いました。内輪というだけで面白いの前提条件がある程度揃ってるから難易度が低いんですね。
余談その6
ツッコみが必要な背景と理由もわかった気がします。わかりづらいボケがあったときに、ツッコみによってmake senseする快感があったり、ボケられた時に残るモヤモヤ感がツッコみによって晴れる気持ちよさみたいなものがあるので「面白い」、つまりボケとツッコみという関係性自体が「快感を呼び起こすテクニック」なんだと思いました。さらに突き詰めて、良いツッコミについて考えると、ボケの中で不足する「面白さ」、「タイミング」、「理解しやすさ」、「創造性」、「共感」の5つの要素の補完として機能するものが良いツッコミになるのかなと思いました。わかりづらいボケには理解しやすさや共感を足すようなツッコみ(説明的なツッコみ)や、ボケの中に創造性が足りなかった時に、アイデアを追加しかつ共感、理解しやすさを呼ぶ「例えツッコミ」とか。千鳥のノブのツッコみが面白いと思うのは、「微妙に聞き慣れなくて新鮮な言葉だけど語呂が良いしイメージがつく」という状態だからかなと思います。マジですごい。
余談その7
たとえば大喜利の回答があったとして、その回答に対して上記5要素で採点した場合に総積がどれくらいになるかをトライアンドエラーしていくと、笑える回答が作れるようになるかなと思いました。そのトライアンドエラーはまたの機会にやってみようと思います。
余談その8
私は昔から自分のキャラを確立して、そのキャラを周りが認識すると笑いを取りやすくなるなと感じていました。その理由は当初は、面白い回答の可能性空間をキャラという制限で限定できるから、アイデアが発散しずらいのかなと思っていましたが、それに加えて、一般的にエントロピーが大きいことを言ってもその人のキャラがエントロピーを適切なサイズに落としてくれるという現象も起こってそうだなとも思いました。
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