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かわいそうな本を救ったら、救われたのは自分だった。

病み上がりの日曜日にブックカフェに行ったら、まさに鶴の恩返しのような出来事が起きたのだった。

ブックカフェとはいろんな本が置いてあって、コーヒーを一杯注文すれば好きなだけ本を読みながらゆったりできるカフェだ。

今日も読みたい本は決まっておらず、面白そうな本があったら読もうと思っていて、本棚を見て回っていたらかわいそうな本があった

誰かが雑に本棚にしまったのか、かわいそうな本のページの間に別の本が挟まっていた。かわいそうな本は想定していないしまわれ方のせいで、ガードなしの部分を殴られているような状態だった。(中のページが折れ曲がっていたり、全体的にくたびれていた。)

普段は読まないようなタイトルの本だったので、普段だったら無視していただろうが、病み上がりで普段より若干エモーショナルになっていた私は、なぜかその本を見て「かわいそう」だと思ったのだ。咄嗟にかわいそうな本を手に取り、正しくしまおうとした時に、ふと、本のラベルを見た。

そのラベルにはたまたま、「この本に”今”出会えたことが幸運です。」と書かれていた。頭の中では「いやいや、曲がり角で食パン咥えたヒロインとぶつかる主人公イベントじゃないんだから」とツッコミながらも、そのラベルの文字に引き込まれていた。

席に戻った時には、かわいそうだった本と一緒だった。コーヒーには手をつけずに本を読み始めた。内容は自分の悩みを解決する糸口になるものだった。その悩みはずっと試行錯誤し続けてきても解決策が見えてこなかったものだったので、私は夢中で本を読み続けた。鳥肌がたった。いろんな新しい考えが頭をめぐった。そのせいで、最後まで読み切ることができなかったので、購入もした。

病み上がりのエモい日曜日、あのくたびれていた、かわいそうだった本を救った気になっていた自分が、逆に救われた。

そういえば結局コーヒー、一滴も飲まなかったな。あと療養中になぜかできた口内炎早く治れ。

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あたまがきんに君
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