ベストボディジャパン2024東京大会への挑戦を終えて思うことは、挑戦がモメンタムを生み、モメンタムが自分を良い方向へ導くということ
あたまがきんに君は、2024年8月25日に開催されたベストボディジャパン2024東京大会に出場してきました。(以降はベストボディジャパンを「BBJ」と表記します。)
本記事は前後半の2パートに分けて記事を書きます。前半パートでは、BBJの参加レポートを、後半はBBJ挑戦を通して得られた気づきや成長を余すことなく言語化しようと思います。
BBJ 2024 東京大会の参加レポート
会場入り
大会の会場は後楽園駅の近くの文京シビックセンターです。宮古島から応援に駆けつけてくれた友人と一緒に会場入りしました。
私のカテゴリは18歳から29歳のフレッシャーズクラスでエントリー数は31名でした。東京大会というだけあり、参加人数が多いことに加えてライバルたちの筋肉と絞りの仕上がりも半端なかったです。
出番を待つ選手控え室では筋張感がただよう
選手受付を済ませたら選手控え室に案内されました。予選開始までは控え室で休憩したり、エネルギー補給をしたり、ポージングの確認をしたり、パンプアップをしたりします。
私はこの時間でたくさんの筋肉仲間と友達になろうと思っていましたが、雰囲気が殺伐としすぎていて断念しました。
選手たちは、持ち込みのヨガマットでテリトリーを展開し、静かにライバルの肉体の仕上がりに睨みを効かせていました。
他にも、パンプアップ前の柔軟を丁寧に行う選手や、トレーナーを引き連れてポージングの確認を行う選手、姿勢良くあぐらをかいて音楽を聴きながら小説を読む選手、トイレの鏡の順番待ちのマッチョたちがいました。
選手控え室には鏡がなかったので、トイレの鏡が大混雑。上裸のマッチョたちがポージングやら、ガチガチに固めた髪型の確認やらの順番待ちで筋張感が漂っていました。間違いなく二度と見ることはない光景ですね。
ちなみに私は柔軟を行った後に、バナナを食べながら「ワイドスクワットカーフレイズローイング」という、下半身とふくらはぎ、背中を一度に追い込める種目で血流を良くする優れた種目でじっくり効かせていました。
出番30分前くらいになると一斉にマッチョたちがパンプアップを始めます。殺伐とした選手控え室に、カエルの歌ばりに鬼パンプアップマッチョたちのあえぐ声だけが響きます。
個人的に「オスのマッチョたちはパンプアップ時のあえぐ声が重なってしまうとどうなってしまうのか?」には興味がありましたが、私もパンプアップに集中していたので検証はできませんでした。
私もあえぎながらパンプアップをしまくっていたところ、想定していた15分くらい早く呼び出しがかかりました。
「えぇ、まだ胸と腕と肩のパンプアップできてないのに!!!」
呼び出しがかかってからステージ入場までは、パンプアップは行っても良いのですが、器具が使えなかったり、汗が垂れてはいけなかったり、地面に手をついたりしてはいけないという厳しい制約がついています。
それに加えて、想像以上に長いステージ裏での待ち時間と、減量末期のエネルギー切れにより、徐々に魔法(パンプアップによる一時的な肥大効果)が解けてきました。
この辺りは参加してみないとわからないことだったので、初参加による洗礼を受けた感じでした。
そして、12時以降のシンデレラの気分になりながらステージ入場を迎えました。
フレッシャーズクラスの入場
予選では、マッチョたちが一列に並んで大会規定の3ポーズ(フロントポーズ・サイドポーズ・バックポーズ)を披露した後、個別のウォーキング審査に入ります。私はゼッケン番号6番だったので右から6番目でした。
ここから一人ずつ番号が呼ばれてウォーキング審査が始まります。ウォーキング審査では、ステージ上を歩きながらステージ上の定められた4箇所でフリーポーズを披露します。
ちなみに、本日応援に来てくれた私の知人は44名。高校の友人、大学の友人、家族、行きつけのバーの常連たち、前職の同僚たち、社会人サッカーの後輩たち、お世話になっているパーソナルトレーナー。
メインポーズの時は、仲間の声援で文京シビックホールが割れました。鍛えていなかったら吹き飛ばされそうなほどの圧力を感じました。
北は北海道から、南は宮古島まで、決して安くない交通費とチケット代を払って応援に来て、めちゃくちゃ盛り上げていただいて感謝しかないです。本当にありがとうございました。
本来は自分の位置に戻った時に第四ポーズ目があったんですが、完全に忘れていました。まじやらかし。大失態。
予選の結果が張り出され6番の落選が確定
予選が終わった後しばらくして控え室に決勝進出者のゼッケン番号が張り出されました。
残念ながら決勝には進めませんでした。たくさんの方が応援に来てくれたのに本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
もっと長い時間ステージ上にいたかった。
食欲の解放と応援団との交流
一方で、この日の私の感情を支配したのは悔しさや申し訳なさよりも圧倒的な解放感でした。差し入れでいちごのショートケーキをいただいたので、速攻で一口。
生クリーム(脂質)ってこんなにうめぇのか!!!!?
集まってくれた仲間たちと写真も撮りました。ステージでは披露できなかった幻の第四ポーズでの撮影。めちゃくちゃ力になりました。ありがとうございます。
翌日は銀座のコース料理を堪能
減量明けの食事で一番楽しみにしていたのが「銀座 ぺろり」の牛タンです。こちらについてはnote記事を書いたのでぜひチェックしてください。めっちゃ美味しいのでおすすめです。
BBJ挑戦を通して得られた気づきや成長や余談
ここから後半パートです。過酷なBBJ挑戦を通して得られた気づきや成長を書いていきます。
エンパワーメントされていたのは自分の方でした
BBJへの挑戦は周りの人をエンパワーメントしたいと思って始めたことでしたが、エンパワーメントされていたのは自分の方でした。
初めての減量ってめちゃくちゃしんどいんです。やり方もあまりわかってないので過剰にカロリー制限して、代謝が落ちて、変化が少なくなってくるのでよりカロリーを制限して悪循環に陥ったり。
仕事のかたわら、多い時は週12回トレーニングをして疲れているにも関わらず、夜は空腹でアドレナリンが出て朝4時まで寝れないという日々が続きました。
睡眠不足はストレスを増大させます。そういったストレスは普通だったら美味しいものを食べて埋め合わせをするんですが食事制限中は逃げる手段がないんです。辛すぎて減量を何度やめようと思ったことか。
そういった中で、友人や同僚から「本当にすごいと思うし応援してるよ!」とか、「めちゃくちゃ変わってきたね!」といった声をかけていただいて、その度に「まだ続けよう。絶対に負けるもんか!」と持ち直すことができました。
首の皮一枚繋がり続けたのは、本当に自分の力ではなく皆さんのおかげでした。間違いなくこの挑戦は自分一人じゃできなかった。
周りの人のおかげで良い方向に導かれていることに感謝です。
(余談)BBJ挑戦で一番エンパワーメントされたのは御年50歳の母
静岡の実家から応援に駆けつけてくれた御年50歳の母。「来年は親子でBBJ出るぞ!」と意気込んでいました。
ちなみに母だけじゃなく、たくさんの人が感化されてくれました。筋トレや食事制限を始めようと思った友人や、一緒に合同トレーニングで色々教えて欲しいという友人や、トライアスロンに挑戦しようという大学の友人たち。
優勝は叶わなかったですが、BBJ挑戦の最小目標は達成できたのかなと思います。
挑戦がじわじわとモメンタムを形成していく
BBJ挑戦を決意して減量と筋トレに励んでいた5月頃、会社の仲間が「BBJ挑戦はすごいことだからもっと広めたほうがいい」と言って広報活動を支援してくれたんです。
最初は、「Slackで応援チャンネルつくるよ」というところから始まり、Slackのチャンネルや、noteのメンバーシップの運用を通じて徐々に認知が広がってきた感覚がありました。
そしてある日、別の方が「会社のイベントルーム借りて練習会やろうよ」と提案してくれたことで、「ベストボディジャパン予行練習会」が開催されることになりました。
最初は「自分なんかのために会社のスペース使うなんていいのか?」みたいな感じでしたが、想像以上に社内のいろんな方が協力してくれました。イベントチームの方が「Slackの雑談チャンネルで告知もしたほうがいい」と提案してくれて告知したのがこちら。
イベント当日は、想像以上にたくさんの方が参加してくれました。
100万くらいするカメラでプロクオリティの写真を撮ってくれた方、会場設営をしてくれた方、ドローンであらゆる角度から撮影してくれた方、忙しい中応援のうちわを作ってくれた同僚の方々、クリエイティビティに富んだ声援で盛り上げてくれる方々もいました。
挑戦する人間とその周辺から生まれたモメンタムが徐々に大きくなっていく感覚に心が痺れました。またこの挑戦のおかげで社内でのプレゼンスも上がりました。
業務での挑戦には社内でもフォロワーはついてくると思うのですが、弊社の場合、プライベートの挑戦でもここまで支援してくれるのが半端ないなと思いました。
この辺りはマジで弊社のカルチャー万歳です。
一番の感情は悔しさ。次に思うことは自分の不甲斐なさ。
もっとポージングの練習していれば、もう少し日頃からトレーニングを頑張っていたら、もっと食事・睡眠にこだわれていたら決勝には上がれたかもしれない。
自分の中で最大限の準備ができていたかというと、実は「Yes」とは自信を持って答えることができない。
結局のところ自分が克服したかったこと(エセプロフェッショナリズムからの脱却)は成し得なかったのだと思う。プロフェッショナルだったらもっと細部にこだわりを持ってやれていたし、最低限の努力でなんとかしようなどとは考えなかっただろう。
ところどころガス抜きをしてしまっていた自分の不甲斐なさに嫌気がさす。食欲に関しても自分を律しきることができなかった。
食事制限が辛いのは食事に執着してしまっている自分の認知が原因なのでもっと深いレベルの内省を行ってコントロールできるようにしたい。
まだまだ強くなります。
食欲には2面性があることがわかったので、これから食欲を手なづけようと思う
食事制限をしている中で気づいたことは、食欲には2面性があるということです。
その2つは「必要最低限のエネルギー補給の欲求」と「美味しいものを食べたい欲求」です。
このうち後者の欲求は、「自己強化フィードバックループ」や「中毒性」という特性を持つので恐ろしいまでに食欲を膨らませます。
ですが後者の欲求は、内省で認知を書き換えることで大幅に削減することができると思っています。
より詳細の話は、ルソーの社会契約論が述べている人間の本質を引用した方がしっくりくる気がするので別記事で書いていこうと思います。
食欲に悩まされている方は完成を楽しみにしていてください。
自分の中にダブルスタンダードを持つこと〜マッチョを目指しながらマッチョイズムの脱却を目指す〜
ベストボディジャパンに出場するにあたって気をつけていたことがあります。それがマッチョイズムの脱却です。
マッチョイズムというのは「力があることが良い」とされる考え方です。この考え自体は良いも悪いもないのですが、この理念をもとに行動する人間が、時に無意識のうちに人を傷つけることがあるというのが問題視されています。
ある観点、例えば「大胸筋の大きさ」において強い者が、弱い者に対して、「大胸筋はでかい方がかっこいいんだから鍛えなよ。今のままじゃダサいよ。自分が鍛えてあげるよ」みたいな発言をするのはまさにマッチョイズムの弊害です。
相手にとって望まない成長の場合には、その側面の成長を支援したところで「価値観の押し付け」とか、「話が通じないやつ」になるのです。
こんなスタンスでは応援してくれる人は減りますよね。
ですが、より高みを目指すには
「絞れてないと価値ないし、もっとでかくしていかないと勝てないし全部台無しだよ?」とか
「自力でダンベルが上がらなくなってから初めて筋トレが始まるんだよ。ただ10repやるだけで筋トレって呼ばないからね?」とか
「筋トレなんて週10回以上やらないと偉くないよ?」とか
「みんな鬱になるくらいまで追い込んでるんだから、楽しんでるようじゃまだまだだよ。」
みたいな感じで自分自身を洗脳してゴリゴリやっていくほうが強いんです。
だからこそダブルスタンダードを持つことが重要なんです。自分に対しては死なない程度のゴリゴリしたマッチョイズム、他者に対してはマッチョイズムを脱却した状態で愛を持って接する感じです。
実は、ベストボディジャパンへの意気込み記事を書くときも、「自分の持つマッチョイズム的な無意識バイアスをいかに排除するか」とか「受け取られ方」を意識しました。
まだまだ全然できていないですが。この辺りは私が考える「リーダーの資質」というか「人間の器」において重要な点かと思います。
ちなみにマッチョイズムを改善するには、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読むのが良いかもしれないですね。相手の発達段階や興味関心を理解して相手が求めている支援をする方法が書かれています。
大きなものを動かせるのは多くのリソースを集約できた人間で、多くのリソースを集約できる人間は器が大きい人間
リソースとは情報、時間、金、人間のこと。この中で一番大事なのが人的リソースだと思います。
人的リソースを集約するためには、集約する人間の器が大事だと思います。
私が器の拡大のために意識していることは、「自分をどのレベルで客観的にみることができているか」です。より高いレベルで自分のことを客観的に見れる状態というのは、自分の価値観や地位や名誉を自己と同一化しないということです。
その根拠にしている理論が過去にこちらの記事でまとめたロバート・キーガン教授の「成人発達理論」です。
高いレベルで自分のことを客観的に見れるようになると、人間は自然と謙虚になるんです。謙虚になると他者へのリスペクトが無くなりづらいし、より学ぼうとします。
また自分の地位や名誉にも執着しなくなるので意識が外に向いていきます。その結果、よりgiveの精神が強化される気がします。
私は将来的に世の中を動かしていきたいと思っているので、より多くのリソースを集約できる人間になる必要があると思っています。なのでこの辺りをめちゃくちゃ意識して動いています。
BBJの応援に全国各地から44人も駆けつけてくれた一番の要因はシンプルに周りの人間に恵まれたことだと思っていますが、足元のところで意識的に「器の拡大戦略」をとっていたことも欠かせない要因だったと思います。
一方で44人の応援団という人的リソースを集約できたにも関わらず優勝という成果を残せなかったのは完全に自分の力不足としか言いようがない。
今の社会構造的にも結果を出せない人間は淘汰されていくのでちゃんと結果にコミットしていける人間にはならないといけない。まだまだ青い。
最後に
挑戦というのは自分と世界の境界線を明らかにしていく行為だと思います。
それは、自分がどれだけ世の中に影響を与えられるかという話だけではなく、「自分が何者か」という問いに対する実質的な回答が得られる行為だと思っています。
「自分とは何者か」への回答は哲学や生物学のような視点から定義することはある程度可能ですが、そこに主体性はありません。
一方で挑戦という行為は、主体的に「自分とは何者か」を定義できる方法だと思っています。だから私を含めこの味を占めている人は挑戦をするのだと思います。
また、挑戦がモメンタムを生み出すというか、周りをエンパワーメントしたり、サポートしてくれる方が集まってくるということがわかりました。これがすごく自分にとって心地が良かったんです。
なのでこれからも挑戦は続けようと思います。
改めて、応援してくださった方々ありがとうございました。この体が全盛期にならないように肉体開発も継続していきます。