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相手の土俵に立つ

恋愛で苦い思いをして、一つ見えてきたことがある。それは、今年ずっと課題にしていた「どうやったら相手の土俵に立てるのか」だ。結論から言えば、相手の土俵に立つというのは、①自分の軸を完全に捨て去ること、②相手がして欲しいことを、最初はできなくても良いから受け入れること、そして、③一つずつこなせるようになっていくことの3つで成り立つと感じた。

私は当初、この「相手の土俵に立つ」というテーマを掲げた際に、達成するための重要課題は、相手に対して興味を持って、相手を観察することだと仮説を立てた。そのため、相手が考えていることを考える時間を作るようになった。その結果、相手が考えていることが、少しわかるようになってきたが、相手が望むことを満たすまではできていなかった。特に恋愛に関しては、相手が望むことがわかっていても、今は自分が優先になることが多く、相手に与えられる人間になるには、もっと人間として成熟してからでいいかなと言い訳をしていた。

その原因は、私は自分の考えや軸が強すぎるからだとわかった。結局私は、自分の考えが一番可愛いのである。

私は、学生時代から、考えることが好きでずっと考え続けてきたので、自分にとって、自分の考え(軸)を捨てるというのは、手塩にかけて育ててきた大切な我が子を捨てるようなものである。自分にとってとても難しい分、一番大事な要素なのは間違いがない。

学生時代からいろんな情報に触れ、いろんな考えを巡らせてきた自分からすると、自分の考えが理にかなっているというか、ある種の正しさを実際的に備えているようになる。(もしくは正しいと思い込む。)しかし、そもそも自分が考えた解はどこまでいっても、自分が得た情報や経験から導き出した部分最適解に過ぎず、世の中の全てを知り得た上での全体最適解にはなっていない。

さらに言えば、恋愛を含む、人間関係の問題は、合理主義的には解決は難しいとされている。この人間関係の問題というのは一般的に、適応課題と呼ばれるもので、自分と相手の土俵を知り、橋をかけるようなアプローチ(相手と自分が仲間だとしたときに、共通目標が何だったら一緒に目指せるのか。)が適切になる。言うなれば、適応課題に対しては、相互的な相手主義的なアプローチが必要になり、合理主義的なアプローチはむしろ火に油を注ぐ結果になりかねない。

ただ、相手主義的なアプローチをする相手は選ばなければならない。相手の考えで生きるには、相手の考えが信頼に値する必要がある。たとえば、自分より経験豊富な人生の先輩の考えとか、自分がしたことがない経験を持っている人の考えとか、よく勉強し、よく考えている人の考えとかである。信頼に足る相手の考えで生きるというのは、たとえ自分がその考えを理解できなかったとしても、良い方向に進んでいくはずである。

大人たちに聞くと、恋愛ないし、結婚で大切なのは「尊敬」だという。その理由は、おそらく運命共同体として、自分の人生の半分くらいは、パートナーの考えで生きなければならず、それを可能にするのが相手に対する信頼ないし、尊敬だろうと思った。相手を尊敬できなかったら、相手の考えで生きるなんてことは実現し得ない。相手の考えで生きることができなかったら、衝突やすれ違いが頻発し、体力精神共にすり減るだろう。

こう考えると、前職で大事にされていた「On the same page」の解像度も上がってきた。単純に目標とか進捗とか適切な情報を共有して仕事の状態を把握するのではなく、相手が考えていることと全く同じイメージを自分の頭の中で描けることであり、その際に重要なのが、自分の解釈の枠組みに捉われずに相手の解釈の枠組みを理解することである。たとえば、「バイト」という単語を聞いたときに、レジ打ちのバイトを思い浮かべる人もいれば、結婚式場のサービススタッフを思い浮かべる人もいれば、塾講師を思い浮かべる人もいる。この違いを生み出す、解釈の枠組みの違いを理解した上で、会話できるようになることが真の「On the same page」だったんだと思った。

最後に

自分が常に相手の土俵に立てるように習慣化すべきことが見えてきた気がする。おそらく以下のような感じになると思う。

相手が求めていることがわかったらリストに追加する

相手が求めていることで自分ができていないことを振り返る

阻害要因になっている自分軸や自分の考えを明文化する

相手が求めていることと、自分軸の間に橋をかける

相手が求めていることを一つずつできるように、実行プランを立てる

バイザウェイ、自分の考えを捨てて相手の考えで生きるということを続けると、後の方で自分の幸せとか、やりたいことがわからなくなるみたいな状態になると思う。ただ、それは「相手の土俵に立つ」ができるようになってからの、より進んだ高次元の問いになると思うので、まずは引き続き「相手の土俵に立つ」を進めていこうと思う。


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